DISCOGRAPHY

ALBUM

8th Full Album
Her
1st Acoustic Album
Hallelujah Circus Acoustic【ヴィレッジヴァンガード限定盤】
1st Acoustic Album
Hallelujah Circus Acoustic【LIVE会場販売限定盤】
2nd Mini Album
What do I crave to see?
15th ANNIVERSARY BEST ALBUM
Rabbits, Rabbits, All the Way 1
15th ANNIVERSARY BEST ALBUM
Rabbits, Rabbits, All the Way 2
1st mini Album[完全初回生産限定盤] CD+DVD+GOODS
BRACKISH
1st mini Album[通常版] CD ONLY
BRACKISH
7th Full Album
Condenser Baby
6th Full Album
Phasemeter Trippin' Bug Shake
5th Full Album
SHAKALABBITS
4th Full Album
嘘を混ぜ込んだ真実のスープ
3rd Full Album
CRIMSON SQUARE
2nd Full Album
CLUTCH
1st Full Album
EXPLORING OF THE SPACE
B-Side Collection Album
4 ALL AGES
10th ANNIVERSARY BEST ALBUM
MUSHROOMCAT RECORD
Live Best Album+DVD
BURNING CYLINDER

1st mini Album[完全初回生産限定盤] CD+DVD+GOODS
BRACKISH
2012.11.07 Release
PCCA-03694 ¥5,000+税
【収録楽曲】
01. Sanctuary
02. スワローキリー
03. Freaky Neo Cowboy
04. Combat Radio
05. Tympanum
06. Jammin'

◆LIVE DVD & GOODS付◆
最新のライブ映像(2012.6.10@StudioCoast)を収録したLIVE DVD&オリジナル・マフラータオル封入
★LIVE DVDは全18曲収録(約80分)のヴォリューム!

*イメージ画像につき、実際の商品とは異なる場合があります。


「“1st mini album”『BRACKISH(ブラキッシュ)』」と書かれた資料を見て、そうか、彼らにとってミニ・アルバムは初なんだなぁと改めてそう思った。来年結成15年目を迎える、それなりのキャリアを重ねた彼らにとって“1st”と命名できるアイテムはそうはない。でも、今の彼らにとって必要な通過儀礼だったのである。

7thアルバム『Condenser Baby』の制作真っ只中に行なわれた衝撃のベーシスト交代劇。単なる楽器プレイヤーなのか、それともミュージッククリエイターなのか?シャカラビッツらしい――「“あれ”をちゃんと持っているか?」を問う、そんな検定試験のような出来事であったと僕は思う。
果たして、“あれ”とは一体何なのか。いろんな音楽をむさぼり聴き、技術を習得しセンスを磨き、社会情勢や雑学を頭や身体に入れることも、音楽家としては大事なことだろう。
でも、もっと大事なことがあった。“あれ”というのは、シャカラビッツでいる為の“究極の自己愛”を持つことである。「それを持っているかい?」という単純なクエスチョン。
でも、シャカラビッツの名の下で作り出す音楽が楽しめるかという単純さと、そのポジショニングをちゃんと理解しているかという難題も実は含まれている。

その答えはズバリ、『BRACKISH』(ブラキッシュ)と題された、今ミニ・アルバムのタイトルに集約されていると僕は思う。“汽水域”を意味するこの単語は、真水でも海水でもない、独特のポジショニングに暮らす魚=シャカラビッツを指す。メイクマネーを目指し大海を泳いだ方が、スリリングで面白いという説もある。というか、彼らもそこに身を投じた経験もあるし、それ自体今でもウェルカムなはずだ。
決して海に出ることを否定しているのではなく、川にいることの面白さ、その両方を行き来することでしか生まれ得ない音楽――その価値をわかっていることこそが、このバンドに在籍できる重要な鍵なのである。
以前MAHは、「いい意味で適当な存在でいたい」と語ってくれたが、それは、自由に適当なことを勝手にやるよ、という意味ではない。何にも縛られることなく自由な頭で、その時にいいと思うものを、素直に取り入れることのできる、柔軟かつ雑食な生物でありたいという意味だ。
そんな生き方のできるシャカラビッツというバンドを誇らしく思い、そして、そこから産み落とされる音楽を心から愛するという、その自己愛を僕は本当に尊いと思う。
それが持てなくなったひとりのベーシストと、その検定試験にトライし、持っているとジャッジされたひとりのベーシスト――YOSUKEが加入して、最初から最後まで、今の4人で作り上げた作品が『BRACKISH』であり、“1st=始まり”という注釈も、どうしても必要だったのである。

『BRACKISH』には全6曲が収録されているが、トータルで全16分53秒しかない短かさだ。つまり、一曲が平均約2分半ということになる。しかし、これぞシャカラビッツである。
長いとか短いとか、特に意識はしていないだろうが、短時間に、その曲の世界観やアイデアをぎゅうぎゅうに詰め込むことが彼らのアイデンティティなのだ。こんなこと、あんなことまでやるのはいいけれど、それが7~8分もかかってはいけない。「どう、俺達ってコアな音楽ファンだし、そんなアイデア満載でしょ?」なんていう主張は、その自己愛には一切含まれていないのだ。彼らのライナー原稿等に、僕がよく例えで使うのがビ―トルズのことだ。『エリナー・リグビー』や『ノルウェーの森』がたった2分ちょっとの曲だってこと。実は意外だが、事実だ。むしろビートルズの曲は2分台がほとんどで3分台は数えるほどしかない。
これもMAHが以前言っていた――「僕らの曲はファストフードでありたい」ということ。とにかく、曲そのものをさくっと身体に染み込ませて欲しいとの願いがあるのだ。シャカラビッツは、その時間内に起こる“マジック”を常に意識している稀有なバンドだと僕は思う。
 さて、『BRACKISH』。冒頭を飾る『Sanctuary』からして笑顔にさせてくれる。いつになくスタイリッシュかつナチュラルなTAKE-Cによるギターのコード感とベースYOSUKEの兄弟2人からなるグルーヴ。何とも心地いい。そのふたつの楽器に引っ張られるように歌とドラムがフロントに立ってデュエットしているような、そんなポップな曲である。スカでもレゲエでもジャズでもパンクでもない。シャカラビッツの極上ポップソングだ。続く『スワローキリー』は、トーキングヘッズやXTCを思わせるエキセントリックなパンキッシュナンバー。途中からハード&オルタナに豹変するところもいい。シャカラビッツの、こういう変態テイストが大好きだ。「鋭利でも丸みでもない~ややこしくも単調」というUKIの書いた歌詞と見事にマッチする曲。続く『Freaky Neo Cowboy』はハードリフを軸にした豪快なロックチューン。間奏では、この曲を大きなフェスのステージで披露する彼らが見える。「未だ何も成し遂げちゃいないのさ」は“1st=始まり”を思わせ、清々しい。ハードでポップ。しかも疾走感満点の『Combat Radio』は『Freaky Neo Cowboy』と共にシャカラビッツの王道・商標登録曲。ここではベースのベストプレイが聴ける。「脳を揺らす僕らのレディオ~うまくやろうなんて術は避けよう」は愛すべきファンへのメッセージか。この曲もライヴで栄えること間違いなし。『Tympanum』――こういうウェットかつ抒情メロウ、そして、音楽で世界を旅する楽団風な匂いを上手に放てるのは数多ある日本のバンドの中でも彼らくらいだろう。「ざわめき合う緑で鼓膜をいっぱいにして」という歌詞フレーズは今作のベストワン。やっぱりUKIは素敵だ。ラストの『Jammin'』。スカ+ちょっぴりラテンのポップなメロディックチューン。「あと少しなのに遠のいたりするんだ~溢れるままに進んでみようじゃないか 人目はあってないようなものだし」は、ここまでの難儀な道のりも、ちょっとは顔をのぞかせる歌詞世界。
そう、彼らは“感じるままに”ここからまた歩き始めたのである。

“汽水域”に暮らす魚=シャカラビッツが節目となる結成15年目を迎える来年、どこに泳ぎ出すのか、実に興味深い。
「当たり強そうな未来でも 近道なんてないもんだ もっと遊ぼうよ」――『Freaky Neo Cowboy』の歌詞に、その答えは既に出ている気もするが…。そう、シャカラビッツはまだ始まったばかり。お楽しみはこれからだ。

棚橋和博(cast/インタビュアー)